□けだものだもの



香月未来

 

「ん…も、てめ…なんで、っ…んなに、べろべろ…っぁ、んん…」
 執拗すぎる愛撫に身を震わせ、吐息混じりに言葉を紡ぐ。
 胸と言わず腹と言わず、指先から足の先まで舐め回されて、毎度のことながらサン ジの身体は唾液でべとべとだ。
 どうにか問いかけると、掴み、その間まで舌で嬲られていた足の指を口に含んでちゅ うっと吸い上げられて。身を捩ると同時、それに合わせてころりと俯せに転がされた。
「ふあ、あ…」
 足首を掴んでいた手が腰を引き上げ、今度は背骨に沿ってつぅ、と舐め上げられる。
「何でって、美味ぇから?」
「お、れは…喰いもん、かよ…っ」
 項まで昇ってきた唇が返す答に、抗議するような声を上げたけれど。
「喰っちまいてぇのは確かだな。」
 耳を食みながら低く返され、ぞくぞくと背筋が震え上がった。
「や…そこは、っ…やめ…んんっ…」
 背にのしかかっていた重みが消えたかと思うと、双丘を左右に開かれて。慌てて上 体を起こすもぴちゃりと舌を這わされ、身体はすぐに崩れ落ちる。
「凄ぇひくひくしてるぜ?」
「言う、な…あほっ…」
 そんなことは、自分の身体なんだから言われなくてもわかってる。
 指と舌でもって解され蕩けたそこは、もっともっとと貪欲に蠢きその先の快楽を欲 していて。
「早く…喰わせろ、よ…っ」
 サンジは首を巡らせると、ねだるような視線を向けた。
「ん…ゾロ…」  そのまま熱を押し当てられるのに抗うように手を伸ばせば、再びころりと仰向けに 転がされる。
「んんんっ…っふ、ぅ…んん…」
 激しい口づけに夢中になっている間に、熱い塊がぐぐぐ、と肉壁を押し広げ。サン ジはくぐもった声を上げながら、太い首にきつくしがみついた。
 ――舐めたり、噛んだり…ホント……ケモノ…。
 肩や鎖骨に噛みつかれる甘い痛みを感じながら、頭の隅でぼんやりと思う。
 もしかして『魔獣』ってそういう意味だったのか? なんて。考えていたらより深 く突き上げられ。
「んあっ! あっあっ…」
「集中、しろよ。」
 高い声を上げて首を仰け反らせた。
 それでも、薄く瞳を開いてみれば、見下ろす金茶の瞳は獣の雄そのもので。やっぱ りケモノだなんて思いながら内心で笑う。
 ――あぁ…でも…。
「っは……喰い千切られそう…」
 なんてゾロが呟くように、貪り喰ってるのは自分も同じな訳で。
 てことは、おれもケモノってことか? と思ってもみたけれど。
 ――…まぁいいか。
 人間だって所詮は獣だし。
 そう結論付けて、目の前の愛しいケモノを貪ることに集中した。




-了-




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