□空虚



ミナト




 「くぅ…あ…っもっと…!」


熱でほてった体を揺さぶられながらそう叫ぶと、腰を掴む奴の手に力が入ったのがわかった。
体に纏ったままのシャツが汗を吸い込んで、肌に染み付く。
脱がせろといつだか言ったが、それがイイんだとこいつは言った。

「はっ…変態野郎」
「お互い様だろ…」

こいつとヤるのはこれで三度目だ。
回数はもっとある。
どんなに濡らしても痛ェもんはやっぱ痛ェし…

気持良くねぇ訳じゃねぇ……。
でも気持ちイイだけじゃなくて…。

「まりも…俺を抱けよ」

最初に誘ったのは俺だった。
酒に酔って、一緒に飲んでたこいつを誘った。
いや、酔ってたんじゃねぇんだ。
酔ったフリをした。
ナミさん達や他の男共が寝静まった頃合いに甲板で酒を飲むこいつにばったり会ったフリをして、酒に酔ったフリをした。

「抱けよ。」


こいつも酔ってたのか何の躊躇もなく俺の服に手をかけた。
それからは簡単だ。入れる穴は一つかありゃしねぇから、こいつはあっさりとそこに自分のモンを突っ込んだ。

「ぅあ…ぃっ…もっと…奥まで…こいよっ…!」
「……くぁ…」

そうだ、お互い酔ってたんだ。
酒に酔いつぶれて、女を忘れかけた自分の体を慰め合った。
ただそれだけの事なんだ。




「ぅあ…っもう…」

嘘さ。

酒に酔ってたなんて、都合が良すぎて笑っちまうだろ?
明日にはもうお互いケロッとして、何事も無かったように振る舞うんだ。

「…ぅあ…ゾ、ロ…!」
「…くぁ」

俺が酔ってんのは、
酒じゃなくてお前にだ。

「あぁ…っ…はっ…」
「くぅ…ぅあ…」

こいつが果てたら
今夜の事はお前の頭から消えてなくなんだろう。
明日もまた、お前はナミさんを見つめてんだろう。


こいつとのSEXは
気持イイだけじゃねぇ。
体のあらゆるところがヒリヒリ痛くて…。

こんなにも近いのに
明日になったらまた、てめぇは遠くなる。

「くぁ…イっちまう…!」
「…っあぁー…」


あぁ、
もう夜が明ける……。



end




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