□淡い心だって言ってたよ



みるは

 

 最近、小春日和の陽気が続いている。
波も穏やかだ。
気候が安定しているので春島が近いのだろうとナミが言っていた。
ゾロが鍛練を終えてドリンクをもらいにキッチンへ行くと、珍しくサンジがテーブルに突っ伏して昼寝をしていた。
キッチンの時計をみると午後の4時だった。
おやつの片付けも済み、夕飯の準備にとりかかる前のほんのひと時の休息の時間。
気候のせいもあり、深い眠りに誘われているのだろうか、ゾロが近付いても起きる気配がない。
背後からサンジを囲い込むようにテーブルに手を着く。
サラサラと流れる髪を梳き、いつもは隠れている左の目を露にする。

(いつもはすかした顔の暴力コックも寝顔はあどけないんだな…)

おもむろに顔を近付け、少し考えたあと眉毛に口付けた。
すると、閉じていた瞼が震え、途端にサンジの顔が紅くなった。
ゾロは口元に手をあて、笑いをかみ殺した。

「なんだ、狸寝入りかよ」
「うるせぇ」

まだ顔は紅いまま、ゾロと視線を合わせようとしないサンジ。

「なに照れてんだ」
「うっせぇつってんだろ!……恥ずかしいマネしやがって。だいたい、なんで眉毛なんだよ!」
「口にして欲しかったのか?」
「アホか!あ〜、せっかく気持ちよく微睡んでたってのに、てめぇのせいで目が覚めちまったじゃねぇか。
 さてと、夕飯は何が食いたい?」
「お前」

再び顔を真っ赤に染めたサンジに蹴り飛ばされた。





―――その夜遅く。
仲間が寝静まったメリー号の格納庫でゾロとサンジは体を重ねていた。

「てめ、ハッ、な、んで今日はこんななんだよ……」
「こんなってどんなだ」
「い、つもより…なんか……」

サンジはクソッ、焦らすんじゃねぇよと消え入りそうな声で呟いた。

ゾロはいつもより優しくサンジを抱きたかった。
気持ちを通わせてもなお、この男が自分のものになった気がしなくて、負担をかけるとわかっていても激しく抱いていた。
だが、今日は……。
昼間のサンジの寝顔を見てからなんだか胸がほわほわと温かく、こいつに優しくしたい、大切にしたいと思ったのだ。
本人にそう伝えたところで素直じゃないこいつは真っ赤になって蹴り飛ばしてくるだろう。
だから何も言わずに普段より愛撫を多めに、こいつをとろとろに溶かしてから挿入してやろうと思ってやっていたのだが。
それが焦らしていると取られたらしい。
現に今、サンジの後孔はいい具合に解れてゾロの指を3本飲み込んでおり、前も今にも弾けそうに膨らんでひっきりなしに涙を流していた。
そろそろ自分も限界だし、ここら辺がいい頃合か…。
そうしてゾロは指を引き抜き、代わりに限界まで張り詰めた性器をサンジのとろとろに蕩けきった後孔にあてがい、一気に貫いた。

「あ、あああアァ……っっ」
サンジは焦らされすぎたせいか、挿入されただけで背を逸らしながらイってしまった。
キツイ締め付けに耐え、ゾロはサンジを気遣うように抱きしめて体を密着させながらゆっくり抽挿を始めたが、イったばかりで敏感なサンジにはそれでも刺激が強かったらしく、首を左右に振りながら身悶えていた。

ゾロはサンジに優しくしたかっただけなのだが、それがかえって濃密な交わりになり、いつもならば終わったらすぐにシャワーに行くサンジも今回は気を失ってゾロの横でぐったりしていた。
無防備な寝顔をさらすサンジを眺めていたら、なぜか切ないようなたまらない気持ちになって、今度は口にそっとキスをした。
そうしたらまた胸がほわほわと温かくなり、サンジをギュッと胸に抱きしめて穏やかな眠りに落ちた。






END




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