□ＮoCount Koala
「触るだけだ。 無理矢理入れたりしねぇ。 ―――だから………」 いつもオレ様で、態度のでかい男と同一人物とは思えない懇願に同じベッドで横になった。 『誕生日プレゼントが何でコレなんだ』 そんな戸惑いは真剣な眼差しに掻き消され、今に至る。 背中から抱きしめられたたまま、滅多に呼ばれない名前を低い声に耳元で囁かれ、体がジンと甘く痺れた。 シャツの釦が一つ、また一つと外され、露にされる素肌。 「―――ゾ…ロ………」 薄い胸の感触を確かめるように執拗にまさぐられる肌。 そこで小さく色付く乳首は触れられるのを待っているかのように、怖ず怖ずと立ち上がった。 日頃露出しても全く意識しない場所なのにやたら恥ずかしくなり、サンジは視線を逸らした。 そっと触られる度にジンと痺れ、もっともっと刺激が欲しくなる。 もっと強い刺激が欲しい。 擦り付けられる臀部にゾロの熱く猛った股間が当たるとガッチガチに張り詰めて、火傷しそうな程に熱い。 『こんなに俺に興奮してやがる。 ああ、俺もこの熱が―――欲しい』 そう思ったのが運の尽きだった。 「―――っ…ぅん。ぁ…はあっ」 ギシギシと軋むベッドの上で身をよじるサンジは踊るように妖しい色気を放つ。 男と寝た事など皆無だというのが嘘のようだ。 『抱きしめるだけで良い』 そんな及び腰な思いでいたのに、この男が放つ色気に当てられて欲望が激しく暴走を始める。 四つん這いで大きく脚を開かせ、時間を掛けて丁寧に解した後孔に徐々に圧力をかけ一気に貫く。 デカすぎる己の肉棒を全て埋め込むには慎ましい後孔に無理が有ると思っていたのに、柔軟性に富んだ体はそれを辛うじて受け入れた。 ゆっくり浅くピストン運動を繰り替えして嫌と言う程焦らせば、綺麗な金髪は汗に濡れた額に乱れたまま張り付く。 乱れた髪に、汗に濡れた肌に、口から漏れる甘い吐息に翻弄される。 「出すぞ」 一度中出しした方がスムーズに動けてサンジへの負担が少ないはず。 そんな言い訳を脳内に用意し、自らの欲望を満たすべく本能のままに突き上げた。 入り口がきゅうきゅうと締め付けて、腸壁は奥へ奥へと誘いながら柔らかく包み込む。 全身の神経が性器に集中し、少しでも気を緩めたら暴発しそうな程良い。 精液を吐き出すのならサンジの奥へ。 少しでも奥で。 具合の良く熱い腸内へ欲望に忠実に吐き出した。 『―――嘘だろ』 射精がこんなに気持ち良いとは知らなかった。 今まで自分が経験してきたのは何だったのだろう。 数度に分けて吐き出す度、恐ろしく卑猥な後孔がもっと出せとせがむ。 『堪らない』と思うと共に『しくじった』とも脳裏に浮かんだ。 こんな気持ち良さを知ってしまっては、歯止めが効かなくなる。 自分の奥底へ無理矢理繋いだ筈の魔獣を戒めた鎖が切れる音を聞いた。 中出した精液がピストン運動の度、コプコプいうと淫らな音と共に紅く腫れた後孔から溢れ出す。 それを感じながらごつい指で赤く立ち上がった小さな乳首を執拗に刺激を与え続け、くりくりと摘み上げては押し潰してはまた引っ張り上げる。 その繰り返しに蒼い瞳が涙で潤んだ。 「…う…あァ…」 軽い痛みと共に騰がる甘い吐息。 耳を塞ぎたくなるようなぐちゃぐちゃと部屋に響く淫水の音。 肉体同士がぶつかり合い立てるパンパンと言う乾いた音は、恥ずかし過ぎる。 だけど恥ずかしければ恥ずかしい程燃え上がる欲望と、それに従順な自分。 もう取り繕いようも、隠しようもない。 「すげぇ。喰いちぎられそうだ」 ゾロは両手でサンジの細い腰を更に抱え上げ、更に奥へと侵入する。 「あっ！いいっ…はっ………あぁっ―――あぁ？」 うっかり漏れた言葉に焦り、慌てて手で口を塞ぐ。 『良い？う、嘘だろ』 だが、間違いなくゾロの耳に届いたらしく、ずくりと更に質量が増す。 「言えよ、さっきみてぇに『良い』って。 口、塞ぐな」 口に押し当てた手を力ずくで除けようとするが、サンジはイヤイヤをするように頭を振る。 その幼い仕草にゾロの興奮は更に煽られた。 「ンなにイイのかよ。 こんな所に男喰わえ込んで。抜こうとしても抜かせやしねぇじゃねぇか」 サンジの腰から手を放し、わざと引き抜こうと腰を引く。 するとその言葉通り、後孔ははしたない程ゾロのペニスを放そうとはしない。 寧ろ精液を絞り取ろうと貪欲に蠢く。 「答えねぇなら此処までだ」 ゆっくりと時間を掛け、カリの部分まで引き抜けば、サンジは堕ちた。 「やめっ…！未だ！未だ足りないっ！もっと…もっと奥…っ」 美しく整った顔で快感の苦痛を伝え、ねだる様にゾロは満足しながらも一気にサンジからペニスを引き抜いた。 精液とオイルが混ざり合い、何の液なのか解らない液が後孔から脚を伝い落ちる。 その感触にサンジの羞恥は一気に高まった。 だが、今は戸惑いより色欲が俄然強く、それどころではない。 ねだったにも関わらず抜かれた非難が口から零れた。 「なっ！？やあっっ」 何度か中出しされたせいで後孔はこぷこぷと卑猥な音を立てた。 突っぱっていた腕の力が一気に体中から抜け、サンジの体はベッドに沈む。 満たされない体は欲望に満ち、刺激を求めシーツに腰を擦り付けた。 その淫らな様にゾロの喉はゴクリと音を立て、肉食獣がそうするようにペロリと舌舐めずりをした。 「テメぇのイヤらしい液でぐだぐだになっちまった。 てめぇの口と舌で綺麗にしろ。 上手に出来たら満足するまで幾らでも突っ込んで掻き回してやる」 サンジの顔に精液とリンパ液に塗れたペニスを擦り付け、見せ付けるように口元へ運ぶと、熱に魘れるかのようにサンジは口を開いて先端を舌先で舐めた。 こんな大きな淫茎が今の今まで自分の中に有ったのかと思うと、後孔が切なく疼く。 がちがちに張り詰めた根元の周りに舌を這わせ、精液をねっとりと舐め取る。 太い茎の血管に沿って吸うように唇を動かすと、生き物のように反応した。 こんなグロテスクな淫茎なのに、愛しいのは何故だろう。 サンジの巧みな舌技から受ける刺激に加え、恍惚とした表情が淫靡で達してしまいそうな程艶っぽい。 「―――っ！」 焦らすつもりが逆に煽られ、サンジの口から引き抜くと押し倒し、大きく両足を開かせ一気に根元まで突き上げる。 熱い体内を思うままに突き上げ掻き回すと、もう理性など何処かへ吹っ飛び、ただ本能のまま思い切り腰を振った。 体内の弱い所を擦り、奥の奥まで嬲る。 サンジが達してしまわぬよう根元を握り、戒めながら陰嚢をやわやわと玩ぶ。 皺を伸ばすように触り、中の二つの球を確かめると、達するには至らない焦れったい快楽がサンジを追い詰めた。 いつまでも達っせられない甘い苦しさに、蒼い瞳が涙で濡れる。 「も、イかせ………ゃっ！ ゾロ……ぞろっぞっ―――あ、あぁ――――っ！！」 ゾロの太い二の腕に、サンジの爪痕が長く赤い線を引いた。 「『触るだけ』じゃなかったのかよ、約束マニア」 八つ当たりとは分かっていながらもズキズキと痛む腰や、酷使された股関節と後孔の痛みにゾロを睨み付けた。 流された自分も悪い。 拒否しようがいくらでも有ったのに、せがんだりもした。 ―――だけど、それでも言わずにいられない。 「あ―――、………悪かった」 頭をバリバリと掻きながらぐつの悪い表情をされれば、多少溜飲が下がる。 同意が有ったとはいえ仲間に、しかも同性に後ろの処女を奪われたのだから、これ位の文句は許されるだろう。 「だが、考えてもみりゃあ惚れた相手と同じ褥に居て欲情しねぇ方がおかしいんだ。 しょうがねぇだろう」 『惚れた相手』って何だ惚れたって。 どさくさ紛れに凄い告白を聞いた気がして、サンジは目をひん剥いた。 「惚れたってなんだよ」 「てめぇに惚れてんだ。知らなかったのか？」 当たり前のように言われ一瞬頭が白くなったが、サンジは瞬時に思考を切り替えた。 「てめぇからの誕生日プレゼントのリクエストは添い寝だったよな？ そっから先のは俺からのサービスって事にしといてやる。 これから先はどうなるか知らねぇけどな」 にっと笑うとゾロの顔が一瞬焦り、滅多に見られない表情に笑いが込み上げる。 「夕べのはプレゼントだからノーカウントとしてだ、俺達の関係は夕べ以前までリセットだ。 またやりたけりゃ頑張って俺をおとしてみんだな」 にやりと笑ったのはどちらだったか。 上りきった太陽が、乱れたシーツに唇を重ね合わせた影をくっきりと映し出した。 ＥＮＤ
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