□LOVE JUNK ちがや要子
恋人たちのバレンタイン。甘くて幸せな…。 だけどあいつには頭の隅にもないんだろう。自分の頭の作りと全然違う事は諦めている。 「サンジくーん、いい匂いvv」 ナミがキッチンのドアを開けるなり歓声をあげた。 それを聞きつけたほかのクルーも覗きにくる。 「うひゃーうまそうだな〜サンジ」 ルフィの目は今にも食べようと輝いてる。 一応確認したが奴の姿はなかった。 「今日はバレンタインですのでガトーショコラなどvもちろんナミさんの為にvv」 「嬉しいわサンジくんvv流石ね」 にっこりと笑うナミを見てサンジも微笑む。やっぱり女の子はいい。花みたいに笑う顔。それが見られれば十分幸せになる。…だけどどこかでひっかかる奴の事…。 別にあいつの笑顔がみたいとか、そんな甘ったるい考えがあるわけじゃない。だけど… 「ナミさんもう少しでできますからテラスで待っててくださいvvルフィおまえ達もな!」 「分かったわ。楽しみにしてるわねvv」 バタバタと騒がしい足音でルフィ達が出ていく。ナミもドアに向かい歩いて行ったかとおもうと、突然振り向いた。 「ねぇ、肝心の本命チョコは作ったの?」 「えっ!」 一瞬顔が赤くなったのを気取られなかっただろうか… 「何言ってんですかナミさん」 「ふぅんとぼけるつもりなんだ。まあ、ああいう相手は面倒よね。頑張ってサンジくん」 聡い彼女にはお見通しらしい。じゃあと言って扉は閉められた。 「本命チョコね…」 そんなもの渡してもあいつにリアクションがあるとは思わない。 実は用意していたあいつようのチョコ。甘さ控えめ…あいつ、ゾロでも食べられるように。 「なんて甲斐甲斐しいんだろね俺って」 自分で自分が笑えてくる。バレンタインなんてものすら知らないかもしれない奴なのに。それなのに作ってしまう自分は馬鹿だ。 「お待たせしました〜ナミさん野郎ども」 ケーキを切り分けながら、甲板で寝ているゾロの姿が目の端に入った。いつもの姿。 「おいしーいvv」 「ナミさんに喜んでいただいて光栄です」 「あいつには持っていかなくていいの?」 ナミはフォークでゾロを指す。 「おい、ゾロ起きろ」 つま先で軽くゾロの腹を蹴る。すると思った通り不機嫌そうに目を開ける。 「デザートだ」 ケーキの皿を少々乱暴にゾロの脇に置く。 「なんだこれ?」 「ケーキだ。見てわかんねぇか?食えよ」 「いらねぇ。甘いもんは嫌いなんだ」 思っていた通りの回答。それでも…いつものことながら自分の作ったものを否定されると心が痛む。 「そうかよ」 ケーキの皿を取るとサンジはきびすを返した。 「あら?あいつってば食べなかったの?」 「いつもの事ですよナミさん」 笑いながらも心が痛む。そう。いつものことなのに。 「ルフィ余ったからやる」 「本当か〜サンジ!ラッキー」 タバコを吸おうとポケットに手を入れると、ゾロ用に作ったチョコが手にあたった。 一瞬ためらったが、そのチョコを取り出す。 「ルフィ!これもやる」 投げてよこすと、嬉しそうにさんきゅー!と笑顔が返ってきた。 「ねぇ…ちょっと今の…」 心配そうに見上げるナミにサンジは笑顔で答える。 「いいんです。どうせ残り物ですから」 「そう?私余計な事したかしら」 「ナミさんが気にするようなことじゃないですから」 なおも心配げなナミに、いつから身につけたかわからない護身のための笑顔を顔に貼り付けた。 十二時が回ろうとしている。片づけと仕込みを終えたサンジは、手近にあった酒に手を延ばした。 バレンタインだからというわけじゃない。いつもゾロに対して自分は空回りしている。いまさらだとは思うが、振り回されてる自分が滑稽だった。 『好きだ』と言われた。その言葉を疑う訳じゃない。 だけど、気持ちの重さでいうと完全に違いがあることも分かっていた。 「一人で酒か?」 突然入ってきた大きな影。姿を見なくてもわかる。 「ああ、ひと段落すんだからな。おまえも酒か?」 「…チョコ旨かった」 出てくるはずのない言葉にサンジは驚いて顔をあげた。 「あれは…ルフィに…」 「…らしいな。ナミが取り上げて俺に渡した」 「甘くない菓子ってのもあるんだな」 サンジが言葉にできずにいると、ゾロは顔を近づけて笑った。 「俺用のもんを他の奴にやってんじゃねーよ」 「バレンタインってもんがなんだか知らねぇが、俺の為に作ったんだろ?」 ゾロの顔がゆっくりと近づいてくる。サンジは動けないまま唇を奪われた。ほのかに残るチョコの味。唇を歯で開かされると歯列にそって舌が入り込んでくる。 舌と舌が絡まる。チョコと酒の味…。 「…ん」 思わず上がったサンジの声に、満足気にゾロが笑う。器用にシャツのボタンがはずされ、唇は首筋から胸の突起物へと流れていく。 こりっと甘がみされ、サンジはビクッと震えた。執拗に舐め上げては甘がみされる。 「ゾ…ロみんなまだ起きてるかも…」 上擦った声で抗議するが唇で塞がれる。 「お互い止められねーだろこんな状態じゃ」 ペニスを服の上からなぞられさらに体が震えた。 「…あっ」 一気に下着ごとズボンを降ろし、勃起したペニスの先端を舐め上げられる。 「やめてほしいのか?」 「…や…だってもう」 上気しうっすらと涙のうかんだ目で哀願する。ゾロは口に含んでたペニスのカリ首に歯を軽く立てた。 せき止められていた白濁の液が飛び散る。 「はぁ…はぁ…」 一瞬閃光をあびたようにサンジの頭は真っ白になった。 「今度は俺が楽しむ番だ」 白い肌に飛び散った白濁の液を指で掬いとり、アナルへと差し込む。ぐちゅ、くちゅと淫猥な音がキッチンに響く。 「あ…ふ…」 言葉にならない声が口をついてでる。 指は二本にふえて、感じる部分を的確におさえている。 「んっ、はぁ」 「すげーヤラシイ顔」 見下ろされて、興奮は一気に増す。 「も…うぃぃ」 「ああ、俺も限界だ」 そう言うと、一気にアナルへゾロはペニスを挿入した。くちゅ。くちゅ。 「あ…はぁ」 振動に合わせて、一緒に腰を振る。 「ゾロ…ゾロ…」 一層腰の振りは大きくなる。羞恥心も意識もとんで行ってしまいそうだ。 「もう…やだ」 「嫌じゃねえだろ?」 再び勃起したペニスをいじられ、サンジは限界だった。 「いか…せて」 「お前のそういう顔好きだぜ…」 ゾロの息も上がっている。腰を打ちつけるように激しい挿入が続く。 「いくぜ?」 「…んっ」 ペニスを抜かれたあと、中からドロリとした液が逆流してきた。サンジはまだ、目の焦点がさだまらなかった。 なんだかサンジくん疲れてない?」 「そ、そんなことないですよ」 朝食の時間、ナミに聞かれどきまぎしながらも笑顔で繕う。 疲れさせた当の本人は、そしらぬ顔で食べている。 「サンジー聞いてくれ!昨日もらったチョコナミに取られたんだ」 ルフィがぶーぶーと文句を垂れてるとナミの鉄拳がとんだ。 「今日のおやつおまけしてやるから」 「本当か!」 はしゃぐルフィを後目にナミはボソっと呟いた。 「昨日のチョコ役にたったみたいね」 「はあ…」 ナミには何もかもお見通しらしい。 「私ね、シフォンケーキが好きなのv」 暗におやつにしろということらしかった。 「はい、ナミさんの為に腕をふるいます!」 「ありがとvvサンジくん」 ウィンクを投げるとごちそうさまとキッチンを出ていった。 「ナミさーん、野郎どもデザートだぜ」 ナミの注文通りのシフォンケーキを切り分けてると、寝ていたはずのゾロがテラスにやってきた。 「どうしたの?ゾロ珍しいじゃない」 「ん?まあな…俺も食う」 「どういう風の吹き回し?」 「まあ、甘いもんもまずかねぇしな」 そう言ってゾロはサンジの方を見て笑った。 END
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