ろろのあ・ぞろ5さい |
ろろのあ・ぞろくん5さい。 きょうからぐらんどらいんようちえんにかよう、なりたてほやほやのようちえんせいです。 「ぞろくん、ようちえんではおともだちとなかよくしてね」 おかあさんがいいました。 「おう」 もちろんぞろくんもそのつもりです。 「もうけんかはしちゃだめよ」 ぞろくんはちょっとなやんで、やっぱり「おう」とおへんじしました。 ぞろくんだって、けんかがすきなわけではないのです。 でも、うまれつきめつきがわるかったので、ぞろくんにそのきがなくても、おともだちとけんかになることはしょっちゅう。 しかもぞろくんは、うられたけんかはのこらずおかいあげというたいへんおとこぎのある5さいじでしたので、いままでかよっていたほいくえんでも、それはもうごりっぱなほどけんかばかりのまいにちだったのでした。 ぞろくんのおへんじをきいておかあさんはほっとひとあんしん。なぜならぞろくんは、ぜったいおやくそくをやぶらないたいへんにおりこうな5さいじなのです。 さて、にゅうえんしきがおわり、おかあさんたちはせんせいとおはなし、えんじたちはおにわであそんでよいことになりました。 さっそくぞろくんも、おにわであそぶことになったのですが。 おすなばですこっぷにてをのばしたら、だれかがさっとそのすこっぷをよこどりしました。 「………」 おすなからしせんをあげて、すこっぷをとったあいてをじろりとみやるぞろくん。 そこには、きんいろあたまにまっさおなおめめの、まゆげがふしぎにくるんとまいたあいらしいおんなのこが。 (へんなまゆげ) ぞろくんはおもわずじいっとおんなのこをみつめます。すると、 「ナニみてやがんだテメェ」 いきなりたかいながらドスのきいたこえです。 ぞろくんはびっくりして、 「おめぇこそなんだそのゆかいなまゆげは」 と、ついついよけいなことをいってしまいました。 ぞろくんのぶしつけなことばをきいたふしぎまゆげのおんなのこは、かわいらしいおかおをまっかにして、かんかんにおこりはじめ、 「おれのキュートなマユゲに、なんかもんくでもあるってのかオラァ!」 いきなりぞろくんにつかみかかると、げしげしとしたばらにひざをいれてきました。 ほそいあしからくりだされるのはなかなかにこうげきりょくのたかいないすきっくで、これはぞろくんもたまったもんじゃありません。 「やめやがれ、おれはけんかはしないんだ」 といっしょうけんめいとめますが、あいては ちっともひとのはなしをききやしません。 おかあさんと『けんかしない』やくそくをしたばかりのぞろくんなので、いつものようにげんこつくらわせたりずつきくれてやったりぶんなげたりするわけにもいかずこまってしまいました。 それにあいてはしょうしょうらんぼうですがおんなのこなのです。 しょうがないのでおんなのこにけりをいれられるままじっとがまんしていました。 さいわいぞろくんは、ばなれしたうえたいへんじょうぶなおこさまでしたので、おんなのこのしつようなこうげきにもなんとかたえることができました。しかし…。 じぶんのじまんのきっくがぞろくんにつうようしないことにきづいたおんなのこは、よほどくやしかったのか、けりをいれながらえぐえぐとなきはじめてしまいました。 「ちくしょう、ちくしょうこのまりもあたま!おれがよわいから、けんかしないのかよ」 おんなのこはいたくぷらいどをきずつけられたようで、とにかくぎゃんすかなきじゃくります。 なきごえがだんだんおおきくなってきて、このままではおかあさんにけんかをしたとごかいされてしまう、とぞろくんはあせりました。 「おいそういうわけじゃねえ。おれはもうだれともけんかしないことにしたんだ」 「でもおれはしたい!おれはきずついてるんだ!」 なくことじとうにはさすがのろろのあ・ぞろくんもおてあげです。 どうしたものか、としばらくかんがえたぞろくんは、いいことをおもいつきました。 そう!おんなをきずものにしたのなら、さくっとせきにんをとればいいのです! ぞろくんはおんなのこをぎゅうっとだきしめて、 「ようしわかったせきにんはとらせてもらう。おめぇとけっこんするぞ!」 と、おとこらしくたからかにせんげんし、おんなのこにちゅうっときすをしました。 おんなのこはものすごくびっくりしておもわずなきやんでしまいました。 さくせんせいこうです。 ところでぞろくんはしょうしょうあわてもので、せいふくのおんなのこがすかーとではなく、じぶんとおなじずぼんなのにはちっともきづいていませんでした。 でもぞろくんはやくそくをまもるおとこでしたので、じゅうごねんご、ぶじにすてきまゆげのおとこのことようしえんぐみをはたしたということです。 めでたしめでたし。 |
→さんじ6さい |
(2003.11.11) |
Template by ネットマニア |