ONEPIECE デッドアンダーな冒険 2 |
2 (クソコックめ) それはもう凶暴な気分でゾロはずんずん先を急いだ。 この人波では背中に背負った三刀が邪魔でしょうがないが、剣士の魂を手放すわけにもいかず、苦労しながら先に進む。 とにかくまっすぐ階段を昇れ、絶対に寄り道や先回りしようなんて考えるな!というナミの厳命に従って、先を行く男たちを弾き飛ばしながら階段を駆け上がる。 効率は悪いが勢いは並じゃない。 あれよあれよという間に先頭集団に加わった。 はるか先行く金髪頭をモノ凄い目で睨みながら、 (なんちゅーモン晒してやがる!アレは犯罪だろ、変質者にでも付け狙われたらどーすんだ。ちったぁ自分がどんなカラダしてんのか解りやがれッ) 法被と褌に着替えたばかりのサンジの姿を思い起こし、ゾロはギリリと歯を食いしばった。 短いヒモで結んだだけの法被は、細いサンジには少々ダブついていて、歩くたびに隙間からピンクのちっちゃい乳首が見え隠れしてたりする。オマケに法被の裾からは触り心地の良さそーな白い双丘が半分とはいえバッチリ見えている。そこからすらりと伸びた長い足はそれはもう細くて白くてイヤらしいことこの上ない。 イヤというほど身体を重ね合わせている自分ですら思わず目を逸らしてしまうほどの殺傷能力。 一刻も早くあのアホ金髪を船に連れ帰りたい。 しかしそのためにはまず、このレースを制覇しなければならないのだ。 魔獣そのものの目つきでひたすら階段を駆け上るロロノア・ゾロ。 彼の感慨は勿論あの凶暴コックにベタ惚れのゾロ限定視点であり、他人には思いつきもしないことであるのは言うまでもない。 (クソマリモめ) 同じく凶暴な気分で先を急ぐサンジ。既に彼の前を行く者はいない。 この分なら楽勝だと長い階段を三段飛ばしで駆け上がりながら、背後から上がってくるであろう剣士の事を考えた。 (ちょっとガタイがいいからって、俺から目を逸らすってなァどういう了見だ!) どーにかこーにか苦労して褌を締め、甲板で待つ仲間の前に現れたサンジをヒトメ見るなり、ゾロはそれはもう苦虫を噛み潰したような顔で横を向いてしまったのだ。 その時のゾロの顔を思い出し、サンジはメラメラと怒りの炎を燃やした。 (んだよクソッ、そんなに俺のボディは貧弱かよッ) 貧弱どころかサンジの細い肢体は、絶妙に筋肉のついたナイスバディである。 しかしゾロの鍛え上げられたそれには、男性的という点においてサンジが敵うべくもない。良く日焼けした肌と無数に散る刀傷、それら全てがサンジの目にはひどく男らしく―――ハッキリ云って、すごくカッコ良く見えた。 サンジは自分と同じ法被と褌姿のゾロに、思わず見惚れてしまったというのに。 対してコッチを視界に入れもしないとはナニゴトか。 そんなこんなで、怒りに任せてひたすら長い階段を突っ走ってきたサンジの目に、ようやく真っ赤な鳥居が入った。 ゴール目前、後はアレを潜って神殿にある御神体―――何のシャレか『ONE―PIECE』と名付けられたソレを掴み取るだけである。 よっしゃ!と息を弾ませ飛び込もうとした瞬間、法被の襟ぐりを物凄い力で掴まれ勢い良く仰け反った。 「―――ッ!」 「…追いついたぜ、クソコック…!」 「ク、クソマリモかテメェ!何しやがる落ちるトコじゃねェかッ」 サンジの苦情には答えず、ゾロはその痩身をいきなり肩に担ぎ上げた。 「なッ!」 「ゴールだな。この勝負、俺の勝ちだ」 じたばた暴れるサンジにニヤリと笑ってみせると、さっさと鳥居をくぐりゆっくりと神殿に近づく。 「後は御神体とやらを拝むだけか」 「んだと?おい、降ろしやがれ!」 「ヘーエいいのか?お前の褌、外れかかってんぞ」 「………何?」 慌てて身体を逸らせて自分の股間に目を遣ると、確かに白布が外れかかって、織り込んだはずの布端がひらひらとはためいている。 「素人はこれだから困るぜ。締め方が足りねェんだよ」 「なっ…」 ボッと顔に朱を昇らせたサンジの尻を、ゾロの無骨な手の平が撫でた。 「ギャア!へ、変態ちっくにお触りしてくれてんじゃねェッ!」 「どっちが。俺に断りもなくヤベエもん晒しやがって…覚悟しろエロコック」 「…ゴー」 「何ィ?いーから降ろせ、勝負つけたらァこの卑怯者!」 「卑怯だと?それをお前が言うか、真っ先にルフィをハメたくせしやがって」 「ムー」 「ウルセエ!勝負に卑怯もクソもあるか」 「ったくお前って奴は…じゃあ俺にどんな目に合わされても文句言うんじゃねェぞ?」 「ゴー」 「なんだよそれッ!つうか降ろせっての!」 「やなこった。―――覚悟しろ」 「ムー」 「覚悟って…テテテメェまさかこんなトコで…ッ」 「お前次第だな」 「のー」 「「………ん?」」 会話に挟まる聞き覚えのある声に背後を振り返った二人の肩を、見覚えのある腕ががっしと掴んだ。 鳥居をくぐり階段のはるか下方より延ばされたその腕に、ゾロとサンジの顔が奇妙に歪む。 「オイ」 「まさか」 「―――交――――――――替!」 「「………ルフィーッ!」」 ぐいっと引っ張られた次の瞬間、ゾロとサンジは空中高く放り上げられた。 階段の途中でへばっていたウソップと介抱にあたったチョッパーは、その時確かに二つの流れ星を見たと後に主張したという。 「よし!」 入れ替わりに神殿目前に降り立ったルフィは、恭しくも紫の台座に据え付けられた御神体らしき石の塊ををひょいと取り寄せる。 「これがここの『ONE―PIECE』か。面白ェ、チンコの形じゃねーか」 ゴム腕で仲間を犠牲に一気にゴールを決めた船長が、男性器をかたどったそれを手に、ニシシシと笑った。 ガササササーッ!とそれはもうめちゃくちゃに若葉を撒き散らしながら、ゾロとサンジは森に飛び込んだ。ペキバキと枝を折りつつどすんと地面に落下すると、そのまま二人ともぐったりとその場にへたりこむ。 「―――ルフィめ…!フツーなら死ぬぞ…ッ!」 背負った三刀の無事を確認すると、ゾロはがちゃりとそれを地面に投げ出した。 ハァハァと荒く息をつきながら、 「…オイ。生きてるかクソコック」 「…たりめーだ。……んのクソゴム…戻ったら、オロス…」 すぐに返って来た減らず口に安堵しながらずりずりとサンジに這い寄り、ぐっとその踵を掴んだ。 「ッなにし…?」 「血が出てんぞ」 そのまま片足を引き寄せて、白い脹脛に舌を這わせる。 突然の暴挙に当然サンジは掴まれた足をじたばた動かして抵抗するが、落下途中に小枝がつけたらしい傷口をちゅうっと吸われるとその感触に思わず息を呑んだ。 「…ッ…」 「こっちもか」 「離、…ひゃあッ!」 ゾロの舌が大胆にその白い太股を舐め上げる。ぞくぞくっと背筋に走る感覚に、サンジは自分が激しく興奮していることを知って焦った。 「青…姦の趣味は、ねェ…ぞ…」 「こんなにしといてか」 「んあ?」 云われて自分の股間に目を遣ると、先程外れかけていた褌が今はもうただの白布と化して申し訳程度に腰に絡まっている。 布の合わせからバッチリ見える自身は既に形を変え始めていてサンジはかーっと赤面した。 (…っくしょう…サイテーだ俺…) 幾らなんでも褌姿の男に欲情するというのは、かなりイッちゃってるのではないだろうか。 サンジは思わず絶望したが、己を慰めるため取り合えずゾロに当たることにした。 「テメェッ!なんで断りもなくヒトの下着外してやがる!」 「アァ?落ちる時外れたんだろ知るか」 「って隙間からゴツイ手差し込んでんじゃねェッ」 「キツそうだから手伝ってやってんじゃねぇかアホ。―――ヨくしてやっから大人しくしとけ」 「ンだと誰、が…ッ、あ!」 敏感な部分をぎゅっと握られて、サンジは息を詰める。 それを承諾と解したか、ゾロはゆっくりと手の平を上下に動かし始めた。ついでに空いた片手で法被の帯を解くと、露になった滑らかな肌に顔を埋めた。 「…う、ッあ、…んんっ」 羞恥や怒りから赤面していたその白い頬が、ゾロの与える快感によって、少しずつ内側から上気した肌に作り変えられていく。 その変貌はいつでも溜まらなくゾロを興奮させた。 少しずつ荒くなるサンジの息遣いに、ゾロは一気に喉が干上がるのを感じる。 先端から漏らされた雫を指先で全体に塗り伸ばしてやると、余程感じるのかぐっと身を仰け反らせて悶える姿に、ゾロの方が先にキた。 (ったく、どっちが触られてんのか、解ったモンじゃねぇ) 「エロコックが…」 「んア、やめ、あ、」 「すげえ溢れてんぞ。やめてイイんかよ」 「…た、りめーだクソッ…!」 目の前に晒された桜色の突起を軽く噛んでやると、途端に猛烈に暴れ始める。 逞しい上体を押しのけようと両手でぐいぐいゾロの肩を押し、愛撫を嫌がって足を闇雲に動かすサンジに、(初めてじゃあるめぇし)とゾロは少々呆れてしまう。 しかしまぁ快感に滅法弱いくせにサンジが意地を張るのはいつものことだ。口汚い罵りを受けながらそれを少しずつ懐柔していくのも楽しいが、いかんせん今日はゾロ自身に余裕がない。 まさに目の前にご馳走をぶら提げられた状態で走ってきたのだ。キッチリ締めた褌の中では、愛息が盛んに自己主張しまくっていてかなりきつい。 一旦サンジの上から身を起こすと、 「おいクソコック。俺ァそう辛抱強い方じゃねぇんだ」 「テメェが、我慢したことがあったかよ…ッ」 「ほう。―――覚悟は出来てるってこったな」 「へ」 仏頂面のまましゅるりとサンジの腰に絡まった白布を取り去った。 「ンな」 ついでに法被も脱がせてとうとう真っ裸にしてしまう。 目を白黒させるサンジの両手を有無を言わさず引っ掴むと、外した長布でぐるぐる巻きに縛り上げた。片結びで止めたそれを満足そうに眺めて一言。 「うし」 「テテテテメェ!コックの腕をパンツで縛るたァどういう了見だウラァ!」 「パンツじゃねぇつったろ。褌だバカ」 「いーから解け、んの変態!」 「終わったらな」 さっさと自分も全裸になりそう言い捨てると、そのままコックに覆い被さりギャーギャー煩い口を塞いだ。 舌でサンジの口中を味わいながら再びその股間に手を伸ばし、今度は幾分性急に擦り上げてやる。 「ン、ン、ンン、」 合わせた唇の間から洩れるサンジの声は、嫌がっているようにも強請っているようにも聞こえてどうにも判別がつきかねるが、どちらにせよゾロがすることはひとつだ。 どうにも自分を刺激するこの肢体の最奥に、早く激情の証を流し込みたい。 強引に押し切るように、時には誘われるままに、何度もサンジと躰を合わせた。 最初に欲しがったのは自分だった。惚れているという意識よりも先に身体が動いたのには我ながら動物だと苦笑するしかない。 それでも本気でサンジに嫌がられたら止めるくらいの理性はあったが、思った以上に容易くコックは陥ちてきた。 真意のほどは定かではないが、口で言うほど嫌われている訳でもないらしい。 寧ろどーもこのクソコックだって自分に惚れてるような気がするのだ。 じゃなきゃこのアホでどーしようもない女好きが、男に抱かれるとは到底思えない。 もしそうだとしたらもうちょい素直に快楽を受け入れても良さそうなものだと思わないでもないが、面倒なので深く考えないことにしたまま今に至る。 鈍い剣士は気づかない。 足を開く側に廻ったサンジにしてみれば、同じ男から…ゾロから受ける愛撫は、常に快楽とともに痛みと屈辱を伴うものであるということ。 それでも受け入れてしまうほど、サンジがゾロを求めていることに。 「も、もう出…ち、ま…う…」 「出せよ。したらソレ使って、お前ン中ぐちゃぐちゃに掻き回してやる」 「ん、のバ…ッ、カ、アア、ア、―――ん、は、ぁッ!」 手の中で弾けたそれを後孔に塗り込むようにして、ゾロはゆっくり指先をサンジに埋め込んだ。 「んっ」 襞を押し分けて侵入してくる異物感とその熱い感触にサンジが呻く。 しかし躊躇う間もなく、ゾロは慣れた動きでサンジをゆるゆる解していく。 少しずつ増やされた指の動きは無骨な剣士とは思えない慎重さでサンジの性感を刺激し、前立腺を内側から擦られた細い身体が弓なりにしなった。 「テ…メ、やめ…ろッ!マジでここで犯す気かッ」 縛られた両手を必死で伸ばして自分を見下ろす緑頭をガンガン殴りつけるが、欲望にギラついた目で見つめられると、らしくなく心臓が跳ね上がった。 「たりめーだろ。―――口にも突っ込まれてぇか?」 「………」 この男ならやりかねない、と褌でさるぐつわを咬まされた自分を想像して、サンジの身体から力が抜ける。 「…もー好きにしろ…このエロ魔獣」 「上等だ」 「う、あっ!」 指の代わりにゾロの先端がサンジの秘所に押し当てられ、その先を求めてぐっと腰を進めてきた。 「い、痛ェっての、この、」 じりじり内壁を抉って最奥を目指しながら、ぎゅうぎゅうに締め付けてくるサンジを堪能していると、金髪の青年はまた縛り上げた腕をゾロの頭にぶつけてきた。 「…オイッ…、クソったれ…!」 「んだ。好きにしろっつった癖に諦めが悪ィな」 「ち、げーよ。…これ解け、でねェと」 「ア?」 「―――テメェ、を、抱きしめらんねェ、だろ…」 ぶっきらぼうにそう呟くと、圧し掛かるゾロの顔が奇妙に歪んだ。怒り出しそうな泣き出しそうな笑い出しそうな複雑なその表情に、サンジは思わず首を傾げてしまう。 「…ぞろ?」 半分ほど埋め込んだ状態のまま無言でサンジを縛った白布を掴むと、ゾロは結び目に無理矢理自分の指を差し込んだ。 その表情では解り辛いが、先程のコックの発言に余程萌えたようである。 しかし固く縛りすぎたためなかなかそれは解けない。業を煮やしたか、ついに男はぶちっと力任せに褌を引き千切った。 「何―ッ!」 泣き別れした二枚の白布をぽいっと背後に投げ捨てると、ゾロは再びサンジに覆い被さった。挿入途中で待機していたソレを、一気に根元まで押し進める。 「ア―――アア、はあ、ッ!」 「ックソ、力抜け…ッ」 「無理、無、理…ッア、テメェ、ちったあ加減しろ…ッ」 「出来るかよ!」 自由になったサンジの両手がゾロの背中に廻されて、厚い胸板をぎゅっと引き寄せた。 汗ばんだ肌が密着して、気持ち悪いハズなのにものすごく気持ちイイ。 「こ、―――ん、のア…ホッ!俺ァどうやって帰りゃいいんだよッ…!」 「安心、しろッ」 「は、ソコッ…、ン、ア、…あ?」 「多少短くなったが、お前にはあんだけありゃあ充分だ」 「………」 「おう、そんくらい緩めとけ、動き易ィ」 「……死、に、く、さ、れーッ!」 (―――コイツ、コイツ終わったらゼッテー蹴り殺す!) そう誓ったが、熱い楔が激しく律動を刻むころにはスッカリ忘れて情交に溺れてしまったサンジである。 事後、短くなった褌はその道のプロの手によって今度こそきっちり青年の股間を防御したらしいが、そのナイスフィット加減はちょっとばかりコックのプライドを傷つけた。 ルフィによりかなり遠方まで飛ばされたらしいゾロとサンジは、結局その日の夕方になり、ボロボロな姿でG・M号に戻ってきた。 甲板で待ち伏せするナミを見かけたときはてっきりどやしつけられると思いきや、無事優勝を手にしたおかげか航海士の機嫌はすこぶる良い。 サンジはホッと胸を撫で下ろしながら、優勝の副賞として手に入れた食材にきらきらと目を輝かせた。 どうやら今晩もG・M号は、物凄いご馳走にありつけるらしい。 キッチンに消える金髪の後姿を見つめながら、ゾロは偉そうに甲板に立つナミをじろりと睨んだ。背中に担いだ三刀から和道一文字をゆっくり外し、つんと澄ました女に当初から抱いていた疑惑をぶつけることにする。 「おい」 「なァに役立たず」 あまりの言い草にぐ、とゾロは詰まるが結局優勝したのはルフィ、手柄も船長の独り占めである。怒りを堪えつつ、航海士にすっとその剣先を向けた。 「出せ」 「?何よいきなり」 「たかが三十万ぽっちで、お前が動くたァ思えないんでね」 ナミの瞳がきらりと輝いた。目前の白鞘に怯むことなく、ギッと剣士を睨み返す。 そうしてしばらく睨みあううちに折れたのは航海士。 あーあ、と大仰に溜息をつくと、懐からゆっくりと写真の束を取り出した。 果たして被写体は、褌姿も逞しい自分達である。一体いつのまにこれだけ撮ったのかと思えるだけの枚数と、あらゆる角度からのそのアングル。 これには流石のゾロも眉を思いっきり顰めた。 「んの、魔女が…あの女もグルだな?」 「彼女便利よねえ〜、どこからでも撮影可能なんだもの。助かったわ」 「………」 写真の束から三枚を抜き取ると、ゾロは残りをあっさりナミに投げ渡した。 「あらいいの?アンタのことだから全部燃やせって言うのかと思ったけど」 「どうせもう流してんだろ」 「ご名答」 「これだけは止めとけ。流石に泣くぞ」 「今更…いいわ、愛妻家に免じて赦してあげる」 「…云ってろ」 バスルームでヒトリ褌と格闘する全裸のコック。 その三枚の写真を、ゾロはビリビリと海に破り捨てた。 電伝虫通販に流されたその日の写真の売り上げは、十日で五百万ベリーを優に数え、航海士の懐を多いに潤したとか。 因みに売り上げナンバーワンは、ロロノア・ゾロ戦慄のバックショットであったという。 おわり |
BACK← |
Template by ネットマニア |