リクエスト 5 |
5 フラフラすっから俺はこのままな? そう言ってサンジは軽く微笑んで見せた。 立ち上がったゾロが寛げた前は丁度彼の目の高さで、サンジはそろそろと躊躇いがちに手を伸ばす。 既に隆起したそれに震える指で触れられた瞬間、ゾロは体に電気が走ったような気がした。 「すげ…テメ、なんで、こんなになってんだ」 「―――俺にも解らねぇ」 目にしたものの大きさと触れた肉茎の硬さに、サンジの声が裏返る。 鼻先に男の証をつきつけられて、本来なら抱いて然るべきおぞましさ、それがその威容に圧倒されて欠片も湧いてこないのはラッキーだったかもしれない。 ゆっくりと確認するかのように指先で血管の浮いた怒張をなぞり、太い根元を辿って陰嚢まで到達した。 そこはほやほやと柔らかくて、(あ、ここはフツーだ)などとちょっぴりサンジは安心してふう、と息をつく。 途端頭の上でゾロがう、と唸った。 「お前、何煽ってやがる」 「え」 見上げると、汗ばんだ指でサンジの金糸を梳くゾロが焦れたような声を出している。 サンジは「あぁそうか」と我に返り、がちがちの肉棒に口元を近づけた。トモダチが自分にしてくれたのと同じように、そっと熱を持ったそれに唇を寄せていく。 「…ッ!」 頭上のゾロが息を呑むのがサンジにも解った。 僅かばかりに手の中のものが震えるのに気をよくして、ヨッパ+ネジの外れた青年はぺろ、と赤い舌先でこれみよがしに先端を嬲ってやる。 髪の毛に差し込まれたゾロの指先に力がこもり、サンジは、 (こりゃ頑張ンなきゃな!) とユルいオツムでうっしゃあと気合を入れた。 ゾロがしてくれたように、自分もゾロに気持ちよく射精してもらうのだ。 男をイカせた経験など現実でも想像でも一度たりともないサンジである。しかし先ほどまでの自分同様にゾロは男の自分に触れられてもどうやら嫌がる気配はない。 それどころか興奮しまくっている気がする。 船上暮らしで溜まりまくっているんだろうしこの分ならなんとかなりそうだぜ、とヒソカに安堵するサンジは、こうなったきっかけが青年の放尿に激しくゾロが欲情したからだったとは当然の如く思いも寄らないでいた。 (それにしても) 大きい。 そそり立つ赤黒い肉棒は長さ太さともにかつて目にした事のないサイズだ。 これこそが世間でいうところの巨根というものに違いない、とそれまで他人のチンコなぞ視界に入れたこともなかったくせしてサンジはううむ、と感心した。 カリから先の滑らかな曲線を描く部分は芸術的に美しく、持ち主の精悍な筋肉を思い起こさせる。グロテスクなはずのそれは不思議な造形美に溢れていた。 これが他の人間のモノであったら、同じ男として思わずムカついてしまうところだろうが、この途方もないブツはサンジ唯一の、大事な大事なトモダチの、持ち物なのだ。 (こんなスゲーお宝持ってるヤツなんか、ザラにゃいねェだろーな) 何故だか自慢げにそんな事を思うサンジの胸中に、ゾロの性器に対する途轍もない―――端的に言葉で表すのなら、愛としか表現できない気持ちが溢れてくる。 ゾロもこんな風に自分のそれに愛着を持って触れてくれたのだろうか。 心の中にじんわりあったかいものが沸く。 (マジで、俺も) コイツをヨクしてやりたい。 因みにサンジのお宝はゾロのそれに比べれば、形こそ整っているもののサイズ的に心許ないものであったが、そこはそっとしておいてあげて欲しい。男とはナイーヴなイキモノなのである。 はむ、と口を大きく開いて亀頭部を咥えた。 そのままの状態でれろっと舌を閃かせる。形を確認するように一回りさせると、口の中にかすかにしょっぱい味が広がった。 洩れ出たカウパーはゾロが興奮している証拠だ。 嬉しくなったサンジは余さずそれを舐め尽そうと割れたところに何度も舌先を往復させる。 裏側の筋の登頂からつるつるした肉を滑り、窄まった小さな出口まで。 ノックするように突付いてそれからまたくびれのキワまで。 味のしないサオを走る血管は太く枝分かれしていて、ちょっと押さえるとドクドクと脈打つような気さえするほどに張り詰めている。 初めての舌触りが面白くて、いつしかサンジは夢中になってゾロの性器を舐めしゃぶっていた。 伸びきった皮を指先でもっと下方に集めてやって、つつうと唇をスライドさせて、柔らかな自分の唇でゾロの堅甲さを確かめる。 もしもサンジが今の自分を客観的に見ることが出来たなら、きっと羞恥で海に飛び込んだことだろう。 初心者とは思えないほど熱烈な口淫を愉しむその表情は、淫猥に蕩けて壮絶なまでに猥褻だ。 首を限界まで曲げてそんなサンジを食い入るように見つめ続けるゾロ。 カワイかったトモダチは今、どうしようもなくエロい顔でエロい行為に耽っている。 (なんでコイツは、んな楽しそうに俺のを…!) 驚愕とも感動ともつかぬ思いで声が出せない。 あんまり気持ちよくて声を出したら一緒に違うものまで出そうだったからではない。 俺は果たして早漏だったろうか、イヤ前に抱いた行きずりの女は確かもう勘弁してと何度も繰り返していたような気がするが。 失敬な回想で懸命に気を逸らそうとしつつも目は逸らせないロロノア・ゾロである。 ビンビンに勃起しまくった己の陰茎を、細い首をこころもち倒したサンジに横からぱくりと食いつかれ、ぎゅんっと血液がそこに流れ込んだ。 自分の施す愛撫にまた少し膨張を増した怒張、それに気付いたサンジが嬉しげに目を細め――― そこまでがゾロの限界だった。 「おい、もういい…ッ」 「ん、れも」 まだイってねェだろと咥えたまま、上目遣いのサンジが目で告げる。 と、男に肩口を押された。 きゅぽんと間抜けな音と一緒にゾロのそれがサンジの口から抜け出す。 「…最後まで、俺がメンドウみてやるのに」 頬を紅潮させ唇を尖らせて、悔しそうにそんな事を言ってみせる青年に、至極真面目な顔をしたゾロが顔を近づけて思い詰めた声で囁いた。 「挿れてぇ」 「―――へ」 節くれだった指にシャツの襟を両手でぐいっと掴まれて引っ張られ、腰を降ろした便器からいきなり立ち上がらされる。 「っおい!」 くるりとコマのように反転させられたサンジの体は、トンと押されてあっけなく前に倒れた。 座ったままで蓄えられた体温にぬくもっていた尻が剥き出しになり、ひやりと冷感を覚える。 うお寒ッ、と思ったのも束の間。 ゾロの両手が左右のふくらみにかかり、ぐっと大きく割り開かれた。 「…あ?」 痛いくらいに圧力のかかったゾロの親指の感触、そのちょうど中心のあたりを何かやたらとヌルつくものが掠める。 やがてそれは、まるでぐいぐいと押し込むような動きに替わり――― 固く熱い塊に入り口を求めて彷徨われ、サンジは遅ればせながらコトの重大さに気が付いた。 挿れたいというのはつまり、ゾロのそれを自分の中に挿入するということだろうか。 (って、そりゃあの、セ、セックスするってことになるんじゃねェの!?) そのとおり棒と穴とを結合させるということである。幾らなんでもそれは、それはトモダチの領域を超えているのではなかろうか。 「ちょちょチョット待て!いくらダチだからってレディのかわりにゃ…」 それまで嬉しそうにゾロにご奉仕していたくせに、この期に及んでサンジは文字通り尻込みしはじめたらしい。 じたばたもがく青年の慌てぶりに、ゾロは思いっきりその細い眉を顰めた。 (女だと?) 違う。これは―――こんなにも自分が欲情しているのは。 目を奪われた、ぬけるような白い肌と細い腰。 耳を焼いた、切なげな吐息と掠れた声。 そんな表に現れたものだけに煽られたわけではないと、そのときになってようやくゾロははっきり自覚した。 ずっとずっとそっと見てきた、乱暴で口の悪い素直になれない優しい男。 「違う」 誰かの、女の替わりなどではなく。 相手が、大事な、トモダチの。 …トモダチだって? 「お前が相手だから、―――なぁサンジ、俺ァお前とひとつになりてぇ」 今までどうしても恥ずかしくて呼べずにいたその名前が自然に口をついて出てしまうのにも気付けないほど、ゾロは切羽詰っていた。 ワタワタと振られまくっていたサンジの両手が、ぴたりと動きを止め。 それを了承と解したゾロは、ぎゅっと後ろから大事なトモダチの体を抱き締めた。 |
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